その次に、メタンは排出が止まると同時に、二酸化炭素と違ってかなり早くに分解され消失する。その結果、気候は非常に暑い状態に移行し、その次に極端に寒くなる。これは、非常に短期間に起こる可能性がある。
2008年、ポツダム地質センターのAchim Brauer博士らは、火口湖の堆積物を毎年分析し、13000年前のヤンガードリアス期がワンシーズンで始まったことを発見した。これは以前考えられていた10倍の速さで、マスターの恐ろしい警告の通りであった。
これが書かれている2010年6月の時点で、地球は記録上もっとも暑い6月を迎えているところだ。この先は、さらに飛躍的に暑くなる。そして、現在北極海で凍っているメタンハイドレートが溶けると、過去と同じように温暖化が急激にすすみ、その結果も全く同じになる。
最近激しい気候変動を地球に及ぼしたのは、ヤンガードリアス期だけではない。
5200年前、ペルーで急激に氷河が形成され、落葉植物の細胞壁がそのまま残るほど急速に凍結されたことがわかった。これが起こるためには、数分以内に温度変化が起こっていたに違いない。言い換えれば、これらの植物が享受していた温暖な気候が、急激に確実に1日以内に変化したのだ。その恐ろしい日に形成された氷河は、5200年たった今も存在している。
また、1991年にイタリアのチロルのSchnalstal 氷河で、溶けて遺体で発見されたアイスマンのエッツィは、5200年前にアルプスの牧草地に吹雪で埋められた。彼は氷河が溶けて初めて発見された。言い換えれば、牧草地を凍らせた吹雪は、5000年以上にわたって溶けることはなかった。
私たちが理解していない、または理解したくない自然の力が存在するという警告だ、というのが私の結論だ。それどころか、過去の大変動の直前と全く同じような状況が現在の気候に始まっているので、その警告はますます緊急のものとなった。
彼はこのように警告して、テーマを残した。「人間の産業と文化の大部分は、もっとも教養のある人種と一緒に、ワンシーズンで破壊されるだろう。これは突然、警告なしで起こり、むしろ警告が何なのかわからないであろう。」
私は、最も明確な警告は北極海でメタンの泡が出現することだ、と考えている。
2010年7月、国際シベリア棚調査のイゴール・セミレトフ教授は、「東シベリア棚からのメタン放出が進行中で、過去の想定以上に激しいようだ」と述べた。
これは、彼が述べた警告かもしれないし、もしそうなら、多少なりとも関心が向けられていることを知って、非常に驚きだ。しかし、気候が激変して私たち人間が苦しんでから、多分その意味がわかることだろう。
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