そのようなことが起これば、人類が大いに苦しむことは明らかだ。さらに悪いことに、北アメリカやヨーロッパの最も経済的に活発で教育レベルの高い住民にとって、最も厳しい災害となるだろう。
しかし、それは真実であったのか?当時、私はまだその男の考えを検証する方法があまりなく、このことは非常に極端に思えた。あの出会いのすべてが単に想像の産物だったのかどうか、まったく自信がなかった。私がすべてを忘れないために、妻は私が彼女に電話をかけたことを、絶えず私に思い出させなければならなかった。
当時、氷河期を引き起こした原因について論争があったが、その変化は緩やかなものだと一般に認められていた。しかし、私は1998年1月のAtlantic Monthlyの中に、ウィリアム・H・カルビンの「大気候は急変する」という記事をみつけた。それは変化が急激に起こるかもしれないことを示唆していた。
グリーンランドと南極から採取された氷の解説に、これと同様の示唆があるが、そのような劇的な変化を速く引き起こす仕組みがはっきりしていないようであった。
マスターから聞いたことと、私の研究を考え合わせて、私はThe Coming Global Superstorm(来たるべき地球規模の暴風雨)を書いた。それは、ローランド・エメリッヒによって「デイ・アフター・トゥモロー」という映画になった。
映画は大ヒットし、何百万人もの人に、初めて「地球温暖化」という概念が予期せぬ重大な結果につながる、ということを考えさせるきっかけとなった。
しかしほとんどの場合、報道機関や環境保護団体は変化の期間を短く圧縮しすぎだ、と映画を非難した。
1億3700万年前、劇的で突然の気候変動を引き起こす出来事があった。それは、地球上の動物に深刻な影響を与えたに違いなかった。13000年前、カナダの巨大な氷河湖から北大西洋に淡水が突然流入し、ヤンガードリアス期として知られる氷河期の状態に戻った。
これら二つの出来事や他の多くの出来事が、今では明らかになっている。それは、まさしく鍵のマスターが起こるかもしれない、と警告したことだ。このプロセスは次のとおりだ。二酸化炭素の濃度が上昇し、温暖化を引き起こす。この温暖化は永久凍土を溶かし、膨大な量のメタンを大気中に放出する。メタンは恐ろしいほど効率的に熱を閉じ込め、地球の温度は劇的に上昇する。この結果、極地の急激な融解がおこり、解けた大量の水が海洋に流入する。淡水は海水よりもはるかに急速に加熱され冷却されるので、海洋温度が上昇する。これにより、北から南への水温の差が減少し、メキシコ湾流として温水を北に流す自然のヒートポンプ効果が弱まる。
0コメント