彼の話した内容のあまりに多くが、当時の私の想像力を越えていたからだ。そして、当時は実際に根拠がなさそうな発言の多くが、あとから科学的に真実であることがわかったからだ。メモを書き直しているとき、いっそ丸ごと削除したくなるようなものがあったことを、よく思い出す。たとえば、彼が「知性ある機械をつくるには、気体が重要な構成要素となる」と言ったとき、なんて変なことを言うのだろう、と考えたことを思い出す。彼は続けてこう断言した。「亜酸化窒素は記憶を担うことができる」と。亜酸化窒素は笑気ガスである。だから、何か変わったジョークを試しているのか?と当時は思っていた。

それはジョークではなかった。「鍵」を実際に個人的に公開した1998年から2000年の期間を調べてみたところ、彼の発言で重要かもしれないことを示唆するものは少しだけあった。しかし、2005年に非常に変わった発見が発表された。再酸化された亜酸化窒素は、電荷トラップする不揮発性メモリのためのゲート誘導体として使えるかもしれない、と言うのだ。このように、彼は正しかった。亜酸化窒素は確かに「記憶を担う」のだ。

彼が会話で述べた多くの科学的発言をさかのぼって調べていた時、このことは直接確認できないことだった。しかし2005年に確認できたのだ。

知性ある機械について会話していた時に、彼は次のように付け加えた。「また、非常に高速で、非常に有用な量子メモリチップを重ね合せる方法を見つけるかもしれない」と。

2010年には記憶媒体に使う別の気体が発表されて、今回は先ほどの会話内容と結びついた。高密度で超低温の原子気体が、量子メモリを応用する際に個々の光子を記憶するための有望な媒体である、ということがわかったらしい。

しかし、彼が再び現れてくれないと、彼が誰だったのかという謎が解けるかどうか、かなり疑わしい。この謎を解くため、彼について思い出すいくつかの特徴を述べるのは、ここでは差し控えた。そういうわけで、誰かが要求しても、確認試験に合格する必要がある。彼が誰なのかすぐに分からない、とは思えないが、私の死後にこのことで混乱が起こってほしくないのだ。

会話は長くなかったが、今まで経験した中で一番豊かであった。率直にいえば、一種の宝の山だと考えている。確かに、私にとっては宝物だった。

UFO接近遭遇-未訳本の紹介

UFO関連で日本語訳のない洋書を紹介しています。 あらすじを参考に原書の確認をおすすめします。 私は本の内容を見抜く目を持っていません。 ご自身でご判断いただければ幸いです。 https://www.instagram.com/daisuke_ufo/ https://twitter.com/UFO_Tom

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