鍵のマスターは、私に驚くほど素晴らしい贈り物をくれた。それは意味深長で、十分に念入りに考えられていた。でも、どうしてこれを小説家に与えて、たとえばスティーブン・ホーキングやマーティン・リース卿には与えないのか? 私には全く権威がない。世界の知育における私の存在は、よくても二流だ。
そのような誰かが私たちは絶滅の危機にある、と言っているのを聞き、その後は、無力な私にその危機の発表を任せて、ただ闇に消えてしまうのは、非常につらいことだ。
私は彼の主張や意見を無視したかったので、彼はただの夢だ、と信じたかった。実のところ、本来は奇抜なものなので、この本の出版をおそらく10年ほど先延ばしにしていた。彼は実在していて、ハッとするくらい物知りであった。しかし、影のように現れては消え、絶滅の危険を述べた素晴らしい驚くべき文章を私に残して行った。単にそれは、与える人を間違ったからであろう。
それにも関わらず、私はここで、彼の言葉に関して可能な限り騒ぎ立てようとしている。なぜなら、それらは非常に役に立つ、と信じているからだ。
当初、私が気になって彼を部屋から追い出すのをためらったのは、ホロコーストに関する彼の発言が原因だ。今まで聞いたこともない考えで、寒気がした。この組織的な大虐殺は人類の最大の過ちで、人がこれまで行った一番の悪事であったが、それでもマスターが話したその恐ろしい結末は、とても受け入れがたいものだった。
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