当時はわからなかった事だが、1998年6月6日の夜に、私の人生は新しい局面にはいった。午前2時半頃、私は驚異的な対話をした。あとで「鍵のマスター」と呼ぶようになった人と話すことで、実際に私の人生が変わった。
彼と半時間ばかり過ごしてから、もう10年以上になる。注意して受け入れれば、彼の話は深くて斬新だ。彼はファンとして来たのではなく、それどころか利用価値のある考えを親切にも示してくれた。なかにはまだ知られていないものもある。古代人の道のりについて、重要な新たな光を当てるものだ。
私はトロントのホテルの部屋にいた。Confirmation(証拠)という著書のための、1日ツアーの最中だった。その日は1ヶ月間のツアーの最後の日で、ヘトヘトだった。ルームサービスで夕食を食べて寝ると、ドアをノックする音が聞こえた。てっきりウェイターがトレイを取りに戻ってきたと思った。
深夜だという実感もなく、ドアを開けて彼を部屋に入れた。彼はトレイに目もくれず、机に座って話し始めた。しばらくの間、私は混乱したが、本当はウェイターではないことがわかった。次に考えたのは、私の本が理由で私と仲良くしたい誰かが、ホテルの部屋を見つけた、ということだ。真夜中を過ぎて知らない人から電話や訪問があった場合、それは話したくない相手であることが経験的にわかっているので、すぐ帰ってもらうように努め始めた。
その男は、人類は鎖につながれている、ということを言った。そして、ホロコーストにより、あるカップルが殺されたため、重力の謎を解明したであろう人物が誕生せず、その結果、われわれ人類は死につつある惑星に閉じ込められたままだ、という興味深い考えを述べた。
こうして、私が今まで経験したことのない驚異的な会話がはじまった。会話のメモをしていたのだが、その内容を発表するのに2年もかかり、しかもそれは内輪向けであった。というのも、会話の内容を一部誤解しているのでは、と心配し、本を読んだ彼が訂正しに来てくれるのではないか、とすこし期待したからだ。
会見後、2度と彼に会えなかったので、このようになったのだ。名前も住所も知らないし、わかっているのは彼の人相と、会話の途中で彼自身について述べたちょっとした内容だけだ。彼が窓枠に腰掛けて私の前にいたとき、彼の名前や住所を聞いたり、名刺をお願いしようなどという考えは、その時は思い浮かばなかった。メモをとり、質問をするのに忙しかったのだ。
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